地方で暮らすことを選ぶと、仕事の選択肢まで狭くなってしまう。
これまで、そんな課題を感じてきた人は少なくありません。
希望する仕事が都市部に集中している。子育てや介護によって毎日の通勤が難しい。地方へ移住したいと思っていても、今の仕事を続けられるか分からない。
一方で、リモートワークの普及によって、「住む場所」と「働く場所」を必ずしも一致させる必要はなくなりつつあります。
こうした働き方の変化に着目し、営業・事務・企画・カスタマーサクセスなどのビジネス職で在宅ワークを目指す人を支援しているのが、株式会社CORALが運営する実践型オンラインスクール「みらいコーデ」です。プログラミングやデザインなどの専門職ではなく、これまでの社会人経験を在宅ワークへ転換することに重点を置いています。
代表の小野達哉氏自身も、会社員としての働き方を見直し、在宅ワーク中心のキャリアへ転換。その後、東京から福岡への移住や、子育てと仕事を両立する生活を実現してきました。
地方に暮らしながら、仕事や収入、キャリアを諦めない。
そのために必要な「実務力」をどう身につけるのか。
みらいコーデが目指す新しい働き方と、地方におけるキャリアの可能性について、小野氏に話を聞きました。
今回お話を伺った方

株式会社CORAL
代表取締役 小野 達哉 氏
会社員時代に営業職を経験した後、働き方を見直し、フリーランスとして約3年間活動。その後、株式会社CORALを設立しました。自身も在宅ワーク中心の働き方へ転換し、東京から福岡へ移住。現在は、営業・事務・企画・カスタマーサクセスなどのビジネス職を対象とした実践型オンラインスクール「みらいコーデ」を運営しています。働く場所に縛られず、一人ひとりが理想の暮らしやキャリアを選択できる環境づくりを目指し、人材育成やキャリア支援、地方における新しい働き方の普及に取り組んでいます。
長時間労働を経験して気づいた、「仕事に人生を合わせない」という考え方
――みらいコーデにつながる原点は、どのような経験だったのでしょうか?
もともとは一般企業で営業職として働いていました。
会社員として働く中で長時間労働も経験し、「この働き方をこのままずっと続けるのだろうか」と考えるようになったことが一つのきっかけです。
仕事そのものが嫌だったというより、「仕事に人生を合わせる」という状態に違和感を持つようになりました。
結婚するのか、どこに住むのか、家族とどのくらい時間を過ごすのか、どんなキャリアを築いていくのか。
本来はそうした人生の選択が先にあって、その理想を実現するための手段として仕事があるべきではないか、と考えるようになったんです。
そこから働き方を見直し、約3年間フリーランスとして活動しました。在宅ワークを実際に経験する中で、働く場所に縛られないことによって、人生の選択肢そのものが広がることを実感しました。
東京から福岡へ。場所に縛られない働き方が、暮らしの選択肢を広げた
――在宅ワークによって、ご自身の生活はどのように変わりましたか?
一番大きかったのは、「どこに住むか」を仕事だけで決めなくてもよくなったことです。
在宅ワーク中心の働き方へ変えたことで、東京から福岡へ移住することができました。
子育てをしながら仕事を続けるうえでも、通勤時間がなくなり、自分で仕事の組み立て方を考えられることは非常に大きいと感じています。
もちろん、在宅ワークだから楽になるということではありません。成果を出す必要がありますし、自分で仕事を管理する力も必要です。
ただ、「会社がある場所に住まなければならない」という制約がなくなるだけで、暮らし方はかなり変わります。
働く場所、家族との時間、住む地域。
そうしたものを自分で選びやすくなりました。私自身、その変化を経験したからこそ、在宅ワークを単なる勤務形態ではなく、人生の選択肢を増やすものだと考えています。


エンジニアにならなくても、在宅ワークはできる
――なぜ、営業や事務などの「ビジネス職」に特化したスクールをつくったのでしょうか?
在宅ワークについて調べると、プログラミング、Webデザイン、マーケティングなど、専門職向けのスクールはたくさんあります。
もちろん、そうしたスキルを身につけることも一つの選択肢です。
ただ、社会人として5年、10年と営業や事務、企画、カスタマーサクセスなどを経験してきた人が、在宅ワークをするためだけに、それまでとはまったく違う職種へ転換する必要があるのかと疑問を感じました。
営業経験がある人には、提案する力があります。
事務経験がある人には、正確に業務を処理したり、周囲をサポートしたりする力があります。
企画やCSの経験があれば、課題を整理したり、顧客との関係を構築したりする力があります。
こうした能力は、在宅ワークでも十分に活かせます。
一方で、ビジネス職の人が「今までの経験をどうオンラインの仕事へ転換するのか」を体系的に学べる場所が全然整っていないことに気づきました。
そこで、ビジネス職で在宅ワークを目指したい方々が、形式的に学べる実践カリキュラムとしてつくったのが、みらいコーデです。
「知っている」ではなく「できる」。100を超える本格的な実践課題を用意した理由
――みらいコーデでは、動画学習や座学よりも実践を重視していますね?
はい。ここはかなりこだわっています。
今は知識だけであれば、インターネットや動画、AIなどを活用して、かなりの部分を無料でも学べます。
問題は、「知っている」と「仕事としてできる」はまったく違うということです。
Excelの使い方を動画で見たことがあることと、実際に上司から「このデータを整理して会議用の資料をつくってください」と依頼されて、成果物をつくれることは別です。
営業も同じです。
営業手法について学ぶだけでなく、実際に顧客役を相手に説明して、質問され、その場で回答して、提案をまとめる経験が必要です。
みらいコーデでは100を超える実践課題を用意しています。
案件管理表の作成、提案資料、社内向け説明資料、事業計画、オンライン商談など、実際の仕事を想定した課題に取り組んでもらいます。
――かなり実務に近い内容なのですね?
そうですね。
「動画を見ました」「内容を理解しました」で終わるのではなく、自分で考えて、手を動かして、成果物を提出して、フィードバックを受けて、改善する。
この繰り返しが重要だと思っています。
仕事でも、一度で完璧なものをつくれる人ばかりではありません。
提出して、指摘を受けて、修正する。
その経験自体が実務力になります。
ロープレ風景の画像
マンツーマンのロールプレイとフィードバックで「オンラインで働く力」を育てる
――在宅ワークならではの難しさはありますか?
あります。
例えば、会社で隣の席にいれば「これってどういう意味ですか?」とすぐ確認できます。
でもオンラインだと、チャットの文章やWeb会議での説明だけで、相手に正しく意図を伝えなければなりません。
報告のタイミング、文章の書き方、レスポンス、画面共有、会議の進め方など、小さなことの積み重ねが信頼につながります。
こうした部分は、教材を読むだけではなかなか身につきません。
そのため、みらいコーデではロールプレイやフィードバックを多く取り入れています。営業プレゼンテーションや社内共有、ファシリテーションなど、実際の業務を想定した練習を繰り返します。
――受講生にかなり密に伴走する形なのでしょうか?
そうですね。
人によっても現在地は違うものです。
タイピングから始める方もいれば、WordやExcelは使えるので、その先の提案資料や業務推進から学ぶ方もいます。
進み方によっては、ロールプレイや相談などで週に複数回顔を合わせることもあります。
全員に同じ教材を渡して終わりではなく、その人がどこを目指していて、何が足りないのかを見ながら進めていくことを大切にしています。
地方に住むことと、キャリアを諦めることを切り離したい

――みらいコーデは、地方で暮らす人にとってどのような可能性があると考えていますか?
地方では、住む場所によって選べる仕事が変わることがあります。
「この仕事を続けたいなら都市部にいなければならない」
「地元へ戻ったら同じキャリアは続けられない」
という状況もあります。
でも、在宅で働ける力を持っていれば、必ずしも地域の求人だけにキャリアを限定する必要はありません。
地方に住みながら、全国の企業と仕事をすることもできます。
これは地方にとっても大きな可能性があると思っています。
地方創生というと、地域に企業を誘致して雇用をつくる方法がまず思い浮かびます。
もちろん、それも非常に重要です。
一方で、「地域に住む人が地域外の仕事にもアクセスできるようにする」という方法もあります。
その地域に住み続けながらキャリアを築けるのであれば、地方移住やUターン、Iターンを考える際のハードルを一つ減らすことができます。
子育てや介護。「毎日出社できない」がキャリアの制約にならない社会へ
――地方だけでなく、子育てや介護をしている人にも在宅ワークは関係してきますね?
そう思います。
能力がないわけではないのに、「毎日決まった時間に会社へ行くことが難しい」という理由で、仕事の選択肢が狭くなってしまう人はいます。
子育てや介護などは、その代表的な例です。
みらいコーデでは、子育てと仕事を両立しながら新しい働き方を目指したい人も対象としています。
ただし、在宅ワークそのものをゴールにはしたくありません。
重要なのは「家で働けること」だけではなく、その後もキャリアを伸ばしていけることです。
営業から企画やコンサルティングへ進む。
カスタマーサクセスからディレクションへ進む。
さらに事業開発などへ仕事の幅を広げる。
ビジネス職には、こうしたキャリアの広がりがあります。
「在宅だから単純作業しかできない」という状態ではなく、場所に縛られずにキャリアアップできる人を増やしたいと思っています。
「簡単に在宅ワークで稼げる」とは伝えない
――在宅ワークを目指す人と向き合ううえで、大切にしていることはありますか?
現実をきちんと伝えることです。
SNSなどを見ると、「未経験からすぐ稼げる」「短期間で自由な働き方ができる」といった情報も目にします。
でも、現実にはそんなに簡単ではありません。
在宅ワークでも仕事なので、企業から「この人に仕事を任せたい」と思ってもらえるだけの力が必要です。
今までの経験が活かせる部分はたくさんありますが、PC操作やオンラインコミュニケーションなど、新たに身につけなければならないものもあります。
だからこそ、今のスキルを正しく把握して、その人に必要なことを一つずつ積み上げることが大切です。
みらいコーデも、楽に結果を得られることを約束するサービスではありません。
努力を、実際の仕事で使える力につなげる。
そこを支援するサービスでありたいと思っています。
「人生の選択肢を増やす」サービスを、福岡から全国へ
――これから、みらいコーデを通じてどのような社会をつくりたいですか?
一番根本にあるのは、その人が「こんな生き方したい」と思った時に、仕事がそれを邪魔しない社会にしたいということです。
仕事のために住む場所を諦める。
仕事のために家族との時間を諦める。
地方に戻りたいけれど、仕事がないから戻れない。
そうした制約を一つでも減らしたいと思っています。
私自身、働き方を変えたことで、東京から福岡へ移住し、子育てをしながら仕事をするという選択ができました。
だからこそ、特別な資格を持っている人だけでなく、これまで営業や事務などで働いてきた人にも、同じように選択肢を持ってほしいと思っています。
株式会社CORALという名前の「CORAL」は、サンゴ礁から取っています。
サンゴ礁がさまざまな生き物が育つ土壌になるように、私たちも誰かが次の人生へ進むための土台になりたいと考えています。
今後はみらいコーデだけではなく、転職、結婚、子育てなど、人生のさまざまなターニングポイントを支援できるサービスへ広げていきたいです。

働く場所を選べることが、地方の未来の選択肢を増やす
みらいコーデの取り組みは、単なるオンラインスクールの事例だけではありません。
地方創生を「地方の中だけで仕事をつくること」と考えるのではなく、地方に住みながら、全国の仕事へアクセスできる人を増やすという新しいアプローチでもあります。
地域に企業を誘致する。
地域企業の雇用を増やす。
起業を支援する。
それらに加えて、場所に縛られず働ける人材を育てることも、地域に人が住み続けるための選択肢になり得ます。
特に、営業、事務、企画、カスタマーサクセスなど、すでに社会人として経験を積んできた人にとっては、「別の専門職へゼロから転職する」のではなく、これまでの経験をオンライン環境へ適応させることで、キャリアを継続できる可能性があります。みらいコーデは、そうしたビジネス職の経験を在宅ワークへ転換する実践型の仕組みを提供しています。
地方に住むことと、キャリアを諦めることを切り離す。
働く場所を自分で選べる人が増えれば、地方移住やUターンを考える人にとっても、地域に残りたい人にとっても、人生の選択肢は広がります。
「働く場所を選べる力」を育てるみらいコーデの取り組みは、これからの地方における働き方を考える一つのヒントになりそうです。
メディア掲載実績
みらいコーデの取り組みは、これまでにさまざまなメディアや雑誌でも紹介されています。
在宅ワークを通じたキャリア支援や、場所にとらわれない働き方への取り組みについて、各媒体で取り上げていただいています。
書店やコンビニなどで掲載誌を見かけた際には、ぜひご覧ください。



企業プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社CORAL |
| 所在地 | 福岡県福岡市 |
| 代表者 | 代表取締役 小野 達哉 |
| 事業内容 | ITサービス事業、キャリア支援事業、オンラインスクール・研修事業 |
| サービス | 実践型オンラインスクール「みらいコーデ」 |
| 取り組み開始時期 | 2026年5月〜現在 |
| WEBサイト | https://mirai-coordinate.jp/ |

